若い方はご存じないでしょうが、NHK「きょうの料理」に1960年から9年間、レギュラー出演した料理家がいました。ぽっちゃりとした風貌で、鼻の下に髭を生やした愛嬌がお茶の間の人気を得て、フランス料理を広めるきっかけにもなりました。

その料理家こそ、帝国ホテルの第11代料理長で初代総料理長となった村上信夫さん。日本でも指折りの料理家でした。

「帝国ホテル 東京」は7月1日から8月31日まで、その〝ムッシュ〟の愛称で親しまれた村上さんの生誕100周年を記念し、功績を紹介する企画展示と、村上さんとゆかりのあるメニューの提供を、本館17階ロビーとブフェレストラン「インペリアルバイキング サール」で行います。

村上さんは1939年に見習いとして帝国ホテルに入社し、1969年に49歳で帝国ホテル第11代料理長に就任。以降26年間、ホテルで提供する料理全般にわたる総責任者として活躍したそうです。

また、1964年の東京オリンピックの選手村食堂では料理長の１人として、全国から集まった料理人に調理技術を伝えるなど、日本でのフランス料理の発展に大きな貢献をしました。

今回の企画は、2005年に亡くなるまで終生現役を貫きフランス料理の普及に努めた村上さんの著書にあるメニューをはじめ、開店に携わった日本初のブフェ形式のレストラン「インペリアルバイキング」の1958年開店当時のメニュー、1964年東京オリンピック選手村食堂「富士食堂」のレシピブックに残されているメニューが提供されます。

また、村上さんのポートレートや選手村食堂当時の写真など、さまざまな功績を史料と写真で紹介する展示も行われます。 ブフェレストラン「インペリアルバイキング サール」は、ランチは大人が平日8,800円、土日が11,000円。ディナーは平日12,100円、土日が14,300円。