夏季特別展「蒔絵百花繚乱―江戸時代の名工とその系譜」滋賀県甲賀市の「MIHO MUSEUM」で

滋賀県甲賀市信楽町の「MIHO MUSEUM」で8月20日まで、夏季特別展「蒔絵百花繚乱―江戸時代の名工とその系譜」を開催されています。
蒔絵は漆工芸の代表的な技法の一つで、絵や文様を描いた漆が固まらないうちに金や銀などの粉を〝蒔いて〟表面に付着させ装飾で、日本では奈良時代から製作され始めたとされています。

「MIHO MUSEUM」は1997年11月に信楽の山中に誕生。中国詩に描かれた桃の花に導かれ洞窟を抜けた先に現れる楽園「桃源郷」をテーマにしており、美術館棟は、建築容積の80%以上を地中に埋設し、建物の上にも自然を復元しているユニークな施設。フランス語版のミシュランガイドで「必ず訪れるべき場所」として三ツ星を獲得しており、2017年には世界的ブランドのファッションショーの舞台ともなっています。

そこを舞台に開かれる「蒔絵百花繚乱―江戸時代の名工とその系譜」は、流行の最先端でいきいきと活動していた蒔絵師の姿を展示しています。

17世紀の後期、それまで一般には名を知られない存在であった蒔絵師たちは、京都の観光案内書「京羽二重」など出版物に住所と共に紹介され、やがて自らの名を作品に記し始めたそうです。
それまで、名を残さない工人であった蒔絵師たちが歴史の表舞台に登場。町衆が台頭する18世紀以降、蒔絵を受容する層が増し、それに比例して蒔絵師の数も増え、流行は競争を生み、技術面でも大きく底上げされ、多くの蒔絵師が名を上げる百花繚乱の時代を迎えたそうです。

同展の展示構成は「第1章 蒔絵師の系譜―山本春正を例に」「第2章 御用蒔絵師―蒔絵師たちの源流」「第3章 蒔絵百花繚乱―京都・江戸における流行」「第4章 松平不昧公の蒔絵師」「第5章 明治維新―系譜は伝統へ」で、蒔絵師達の作品を、のちに各地の伝統へと繋がる彼らの系譜と共に紹介しています。

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