芦屋市立美術博物館で特別展「最後の浮世絵師 月岡芳年」 怪奇をテーマとした「新形三十六怪撰」など

兵庫県芦屋市の「芦屋市立美術博物館」で7月22日から10月9日まで、特別展「最後の浮世絵師 月岡芳年」が開催されます。

月岡芳年(1839-1892年)は江戸の新橋で生まれ、12歳のときに歌川国芳に学び、15歳で画壇デビュー。22歳頃から本格的に浮世絵師として活動をはじめ、54歳で没するまでに数多くの作品を世に出しました。

芳年は西洋画の写実性を取り込みながら、柔軟な発想とたくましい絵心で、浮世絵の歴史の最後に強烈な閃光を放った浮世絵師でした。国芳譲りの武者絵や歴史画を中心に活動を始めましたが、明治維新という激動の歴史の世相を映す作品も数多く残しました。

同展では、妖怪などの怪奇をテーマとした「新形三十六怪撰」や、芳年の代表作である「月百姿」など芳年の魅力あふれる作品の数々を紹介するそうです。

特に、芳年は「血みどろ絵」や「無残絵」などの過激な絵を好んで描いていたと考えられていましたが、近年の研究の結果、それは画業の最初期の画風であることが判明。同展では、芳年が全盛期から晩年にかけて描いた作品150点が展示されますが、それらの作品には過激な描写のものは少なく、静謐な描写のものが目立ち、その静謐さの中に劇的な場面を展開させるといった描き方の作品もあるそうです。
このため展覧会を通して、芳年が過激な内容や描写のみが目立つだけの「最後の浮世絵師」ではないことが分かります。

同展の浮世絵は「武者絵」歴史画」「続物」「美人画」「報道」「月百姿」の大きく6種類に分けて展示。背景まで丁寧に描きこみリアリティにあふれた全盛期の傑作シリーズ「新撰東錦絵」や、妖怪や幽霊のみを集めた最晩年の「新形三十六怪撰」などすべてが見どころになりそうです。

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