「シャープ」はこのほど、固形状のものとして世界で初めて、密閉された空間を目標湿度に調節・維持できる調湿材「TEKIjuN（適潤）」を開発しました。

木製品や生鮮食品など、さまざまな物の品質や鮮度を維持するには、適切な湿度域で保管・保存する必要があります。例えば、バイオリンなどの木製楽器は40～50%RH（相対湿度）の湿度が最適とされています。

一般的に、多湿によるカビを抑制するためにシリカゲルなどの乾燥剤が使用されますが、目標湿度への調節はできないため、過度な乾燥によって木材に歪みやひび割れが生じ、損傷する恐れがありました。

目標湿度に調節可能な液体の調湿材はありましが、液漏れのリスクがあるため特殊な包装が必要となるなど、吸放湿性能や使い勝手などで課題がありました。

「TEKIjuN」は、電源を必要とせず、多湿時には吸湿、乾燥時には放湿することで、密閉された空間を目標湿度に調節・維持することが可能。成分調整により40～90%RHの範囲内で任意に目標湿度を設定できるため、幅広い用途で利用できるといいます。

「ビーズ型」と「シート型」の2種類を開発。特に「ビーズ型」は、固形状として世界で初めて、対象物に最適な目標湿度を設定した状態で提供することで、工業製品や工芸品、嗜好品、食品などの保管用途に適しているそうです。

「シート型」は、吸放湿のスピードが速く、急激な湿度変動に対応できることから、電設、建材、輸送分野などにおける結露抑制シートとしての活用を想定しています。