すみだ北斎美術館が企画展「北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか―」 徳川家康など人物、歴史的場面を描いた作品を展示
- 2021/12/15
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葛飾北斎といえば、「冨嶽三十六景」や「北斎漫画」で知られる江戸時代を代表する浮世絵師です。というか、その卓越した描写力は世界でも高い評価を受け、江戸時代の浮世絵師というより〝日本を代表する画家〟といった方がふさわしいでしょう。
その北斎や弟子たちなどが描いた歴史上の人物や事件を軸として、時代ごとに展示する企画展「北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか―」が21日から2022年2月27日まで、東京都墨田区の「すみだ北斎美術館」で開かれます。
同展は日本の歴史に焦点をあてた企画で、当時の歴史観に基づき神話の時代から安土・桃山時代、北斎の生きた江戸時代の歴史的事象が描かれた作品、弟子の描いた明治時代の錦絵までを展示されます。
展覧会の構成は、「神話の時代」「古墳・飛鳥時代」「奈良時代」「平安時代」「鎌倉時代」「室町時代」「安土・桃山時代」「江戸時代」「明治時代」に分かれていて、歴史小説や物語などでも有名な歴史的場面を楽しめます。ただ、それは北斎や弟子が描いたものですから、主に作品が描かれた江戸時代当時の歴史の見方ということになり、そこをうかがい知ることができるのも楽しみのポイントとなりそうです。
例えば、「神話の時代」で紹介されるのが「富嶽百景」の最初のページに描かれた神の「コノハナノサクヤビメ」。「富嶽百景」は北斎の富士図を約100図収載した版本で、その最初のページに描かれたのが「日本書紀」や「古事記」に登場する神で、富士山麓にある浅間神社の御神体としてまつられている「コノハナノサクヤビメ」。衣服をチリチリとした線で表現するなど、北斎の描く美人画の特徴がみられるそうです。
また「江戸時代」では、北斎の弟子の二代葛飾北斎が徳川家康を描いた肉筆画も展示されます。浮世絵師が江戸幕府の将軍を描いた作品は珍しく、「恐惶頓首百拝 北斎拝写」の落款から敬意をもって描いたことがわかり、当時の人々の幕府への見方を示しています。このほか「江戸時代」では、現在からみると歴史的事象である朝鮮通信使など、北斎が実際に見たと思われる事柄も登場するそうです。
観覧料は一般1,000円、高校生・大学生700円など。