「うんち」処理で100億円のサービス提供する糞虫! 「たくましくて美しい 糞虫図鑑」発売
- 2021/7/21
- ライフスタイル
「糞虫」ってご存じですか? あまり知られているとは思いませんが、糞虫とは、糞を食べるコガネムシの仲間。では、ファーブル昆虫記でおなじみの「スカラベ(フンコロガシ)」という名前は聞いたことがあるかもしれませんね。このスカラベは糞虫の一種です。
この糞虫が、奈良県の奈良公園で「年間約100億円のサービスを無償提供してくれている」と知ったらびっくりです。
そんな糞虫の話しを教えてくれるのが、このほど発売された「たくましくて美しい 糞虫図鑑」(創元社。A5判変型、144頁)です。著者は「ならまち糞虫館」の中村圭一館長さんで、読む人を糞虫の世界へと誘う糞虫ガイドです。
奈良公園は「糞虫の聖地」と呼ばれているのですが、神の使いである鹿が落としていく1日1トンともいわれる糞を、小さな糞虫たちがせっせと片付けています。
もし、これを人の手でやるとすれば、東京ドーム165個相当の敷地を時給800円、1000人で掃除するとして年間約23億円。粉砕、焼却して土に還す設備投資も考えると、糞虫は年間約100億円のサービスを提供していることになります。
そんな糞虫の話しに触れれば、もっと知りたくなります。
同書は、糞虫初心者から上級者までわかりやすく読めるのが特徴で、1章では、糞虫とはいったいどんな虫なのかをQ&A形式で解説。
2章では、実際にどんな糞虫がいるのか、日本と世界の糞虫約70種類を図鑑形式で紹介します。3章では糞虫が見つかりやすい奈良公園のスポットや、観察や飼育のコツなどを解説しています。
糞虫は「糞」とは切っても切れない関係から、マイナスなイメージがあり、子どもに人気の〝メジャー〟な昆虫とは言えません。しかし、東南アジアやアフリカには大きくてツノのあるカブトムシのような糞虫がいたり、中南米にはピカピカの金属光沢に身を包んだ糞虫がいたりするそうです。
地道に「糞」を処理して生きる糞虫ですが、その世界は驚くべき広がりを持っているようです。定価は1,870円(税込み)