〝うだつの上がる町並み〟にまちごとシェアオフィス 築150年の長屋を改造した「WASITA MINO」
- 2021/8/5
- ビジネス
「うだつが上がる」という言葉をご存じでしょうか。あの人は「うだつが上がった」とか「うだつが上がらない人生だ」というように使います。「うだつが上がる」とは「出世する」とか「金銭的に恵まれる」という意味です。
その「うだつが上がる」ですが、岐阜県美濃市には「うだつが上がる町並み」があります。実は「うだつ」とは、屋根の両端を一段高くして火災の類焼を防ぐために造られた防火壁のこと。裕福な家しか「うだつ」を造ることができなかったため、庶民の願望から「うだつを上げる・うだつが上がらない」の言葉ができたそうです。
江戸時代の商人の町だった美濃市には、この「うだつ」が多く残っていて、「うだつの上がる町並み」として国の伝統的建造物群保存地区に選定された地域があります。
その「うだつの上がる町並み」の美濃市相生町に先ごろ、国内初のまちごとシェアオフィス「WASITA (Work and Stay in Traditional Area) MINO」がオープンしました。築約150年の木造建築の長屋をシェアオフィスとし、それを拠点に「自然と伝統、繋がり息づくゆたかなまちで働く、暮らす」という価値の創出を目指すそうです。
この長屋は、和紙の商屋町として繁栄していたころに建てられた計7棟の集合住宅で、これまで地域の人々の豊かな暮らしを支えてきた建物でしたが、それをリフォーム。1階にはコワーキングスペース・ミーテイングルーム、2階にプライベートオフィスとチームでのリモートワークに活用できるチームルームも完備されています。
また施設内に、ゲストハウス、レストラン/カフェ、中庭も併設、「働く場」と「暮らす場」を共存させた施設になっています。
格子で囲われた通路や、麻炭を塗りこんだ手漉き和紙で覆われた壁、吹き抜けの多い開放的な空間など古民家木造建築の佇まいを残したシェアオフィスで、うだつの上がる街並みでの生活を楽しみながら仕事をすれば、仕事の効率も上がり、〝うだつが上がる〟かもしれませんね。